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  • 武久源造チェンバロリサイタル バッハ生誕335周年〜歌うバッハ、祈るバッハ、時を駆けるバッハ〜
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武久源造チェンバロリサイタル バッハ生誕335周年〜歌うバッハ、祈るバッハ、時を駆けるバッハ〜

2020.03.31(火) 19:00 開演 〜21:00(終演予定)

ムジカーザ

この公演は終了しました

コンサート概要

ジャンル
: チェンバロ
プロ (クラシック)
《バッハ・コスモスⅡ》に寄せて
武久源造 

あえて問おう。
およそ人は何のために音楽をするのか。
バッハの《適正律クラヴィーア曲集》ほどの作品を前にすると、こんな大上段な疑問
も、ごく自然に沸いてこようというものである。

思うに、この問いに十全に答えるためには、大我と小我という、いわば二重の自己意
識を引き合いに出さなければならないだろう。
大我の私は諸々の欲から離れ、無心に音楽を愛し、音楽と一体になって、ただ音楽の
みの要求に従おうとする。それさえできれば、後のことはどうなってもいいと思って
いる。
その私がバッハを弾く時、まずは、バッハの自筆譜や弟子の写本などを頼りに、バッ
ハが伝えようとした情報を、可能な限り収集する。バッハは300年後の異国人である
私にまでも、何事かを伝えようとしている。それを、あらゆる認知機能(思考、情動、
感覚、直感)を駆使して受け取る。楽譜上の記号と記号の間で凍っている音楽の命に
再び体温と血流を取り戻させたい。既知の名曲というレッテルの下で冷たく結晶化し
ようとしていた音符たちに、再び新鮮な空気を呼吸させたい。これが大我の私の唯一
の願いである。

一方、小我の私には諸々の種々雑多な願望がある。

例えば私は、バッハ音楽に対する新たな視点を、聴き手の皆さんと共に分かち合いた
いと願う。楽器の選択もその一つである。

今回、登場する楽器は、ペダル鍵盤付きチェンバロである。
これは、1728年のツェル・モデルの二段手鍵盤のチェンバロの下に、足で奏するチェ
ンバロを増設した物で、
バッハもこの種の楽器を持っていたことが分かっている。
17・8世紀のドイツでは、このような足鍵盤付きのチェンバロは、大変ポピュラーな
ものであったが、残念ながら一台も現存していない。
私の楽器は、当時の文献などから想像して、私自身がデザインしたものである。

バッハの適正律クラヴィーア曲集の中にも、例えば第1巻20番フーガのように、明ら
かに、足鍵盤を必要とする曲が見いだされる。彼は、手鍵盤のみの楽譜を弾く時にも、
適宜、足鍵盤のパートを補充して弾いたに違いない、と私は考えている。

本コンサートで私は、バッハがその中で育ったドイツの鍵盤音楽の豊かな伝統を、足
鍵盤付きチェンバロの上で、振り返ってみたい。
それによって、バッハの、音楽に対する、時を超えた、豊かで深い思いを、皆さんと
ともに味わえれば、私にとってこれ以上の幸福はない。

プログラム

曲目
J.P.スヴェーリンク ファンタジア 第4番
G.ベーム カプリッチョ
J.S.バッハ オルガンのための前奏曲とフーガ
バッハ 適正律クラヴィーア曲集より

出演者

出演: 武久源造 Genzoh Takehisa
足鍵盤付きチェンバロ:
カークマン工房モデル(18世紀後半イギリス)によるフィリップ・タイヤー作(1991)

その他の情報

チケット: 前売り券 3,000円 / 当日券 3,500円
障碍者・小学生 1,500円 / 全席自由
未就学児無料


主催 ムジカ・ムンダーナ

https://musica-mundana.jimdosite.com/

動画