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  • 忘れられた名曲たち 1

忘れられた名曲たち 1

2022.09.15(木) 19:00 開演 〜20:45(終演予定)

三鷹市芸術文化センター風のホール

この公演は終了しました

コンサート概要

ジャンル
: オーケストラ
プロ (クラシック)
今年は「忘れられた名曲たち」と称してユダヤ系の作曲家の作品を中心に、様々な理由で今日演奏される機会の少ない作品をプログラムのメインとして取り上げます。作曲家自身が初演後作品を改訂してしまったので現存しなくなってしまった初版などもありますが、多くのケースはナチス政権に「頽廃音楽」として禁止された作品です。
19世紀末にフランスで起こった「印象派」やそれに続く「表現主義」「キュビズム」など、美術の世界で次々に起こった革新的な運動と同様に音楽の世界でも無調音楽や十二音技法、ジャズの技法や新しい奏法など、20世紀前後から様々な新しい音楽が書かれるようになりました。
1933年、ナチス政権が起こるとユダヤ系の芸術家の作品を中心に、様々な芸術が弾圧されるようになりました。また、ユダヤ系でなくてもモダンで斬新な芸術や実験的な芸術はすべて弾圧の対象となり「青騎士」に代表されるようなドイツの新しい芸術家たちの作品も禁止されました。1935年にはドイツ中で「頽廃芸術展」と称する展覧会が行われ、ナチスの批判の対象となった作品が大々的に展示され、晒し者となりました。これらの作品の中には見せしめに焼却された物もありましたが、大部分はその後封印されたり売却されたりして、失われたものも数多くありました。
このパンフレットに使った「赤いドレスの女」はドイツ表現主義の代表作で「青騎士」のメンバーでもあったアレクセイ・フォン・ヤヴレンスキーの作品ですが、この絵を始めフランツ・マルク、ヴァシリー・カンディンスキー、エミール・ノルデ、エルンスト・キルヒナー、後にはゴッホやムンク、クリムトなどの作品も禁止されたり封印されました。
作曲家ではメンデルスゾーンを始めマーラー、シェーンベルク、ベルク、シュレーカー、ヒンデミット、シュールホフ、ワイルなどの作品が禁止され、画家のヌスバウムや作曲家のシュールホフは強制収容所で命を落としました。
絵画の世界では、作品が失われなかったものは再び評価され、日野当たるようになった画家も多いのですが、オペレッタや映画音楽の作曲家として爆発的な人気を誇ったシュレーカーやワイルを始めとする作曲家の多くの作品は、ナチスによる弾圧のあとは再び評価されることはありませんでした。バルトークやショスタコヴィッチの作品は頻繁に演奏されるようになりましたが、ヒンデミットの作品はごく僅かな代表作以外ほとんど演奏されません。
リヒャルト・シュトラウスの作品ですら、歌劇の最高傑作でもある「無口な女」はユダヤ人の作家シュテファン・ツヴァイクが台本を書いたためナチスに初演を妨害され、その後は長く封印されて戦後も「サロメ」や「薔薇の騎士」の様に頻繁に演奏されることはありませんでした。
日独楽友協会では、このように音楽以外の理由で忘れられた作品に再びスポットライトを当てます。9月15日にはまず、非常に革新的でモダンでありながら、高く評価されてピューリッツァー賞を受賞した二人のアメリカ人作曲家の作品を演奏します。アメリカの民謡や賛美歌を取り入れ、どこか懐かしい響きのする美しい作品です。

プログラム

アイヴズ:答えのない問い
コープランド:アパラチアン・スプリング
アイヴズ:交響曲第3番「キャンプの集い」

出演者

日独楽友協会シンフォニッシェ・アカデミー
すぎやま なおき(指揮)
スリーマル・ヴェーラシンゲ(アシスタント)

その他の情報